山中にて(猿) 山中で猿を見た多関節構造の造られたような身体唐突にそれは名前を尋ねてきたうっかり父の名前を叫んだら不自然な笑いを浮かべてそれはまた来るといってどこかへ行ってしまった。 蛙と無花果 チョウチンオニグモ 一部の生物が自ら生物発光するのは発光バクテリアを体内に持つからだがチョウチンオニグモは背に無数の提灯を背負い夜ほとんど動くことはしない眼下に広がる闇の底では今宵も天井に小さな星のごとき明かりを見つめる無数の目が存在する。 深海シリーズ(ミツクリ峠) ゴブリン山脈は険しい所だ山で悪夢にうなされるのは荒涼とした大地の裏側に潜むなにかのせいかもしれない頂から望む暗闇の中をそれはゆっくり移動している 点滅信号 深海シリーズ(鉄の鱗貝) 海底には鉄の鱗を持つ貝がいるという体内で鉄を生成し鎧の表皮を持ち劣悪な世界に生きるこの光も届かぬ永遠の闇の中で生きるため独自に進化するしかなかったのかもしれない。 ページトップへ